麗華様は悪役令嬢?いいえ、財閥御曹司の最愛です!
***
正臣さんとの同棲が始まって三日が経った。
相変わらず忙しい私たちは、会食続きでなかなか食事も自宅で取れていない。だが朝ご飯だけは用意している。母に家事を色々と仕込まれていたので、朝から出汁を取り、洗濯をして、掃除をする。今日のメニューは、土鍋で炊いた白ごはんとシジミの味噌汁、鮭の塩焼きとほうれん草のお浸し、甘い卵焼きときゅうりのお漬物。正臣さんはどんなに忙しくても朝ごはんを食べてくれる。私との結婚をどう思っているのか不安だし、急に婚約破棄をされたらと思うと不安もあるが、こうして同棲してみると、居心地が良くて驚いている。
夜はキングサイズのベッドで二人で並んで寝るのだが、緊張したのは最初の夜だけ。それ以降は安眠出来ている。手を出してこないあたりやはり私のことは好きではないのかもしれない。それでも、婚約者として、家事と仕事の両立を図るべく努力していた。
「おはよう」
「おはようございます」
「今日も朝ごはん作ってくれたんだ。ありがとう」
「お口に合うといいけれど」
「毎日美味しいよ。でも麗華も働いているんだから、無理しないで。嫌じゃなければ家政婦さんだって雇えるんだから」
「ありがとう」
寝起きの正臣さんは昔の彼を思い出す。仕事中のキリッとした彼とは違う、柔らかい雰囲気。あの頃の彼はふっくらした可愛い男の子で、泣き虫で、今と同じで優しかった。その頃の優しくほっこりする正臣さんを、想起させるのだ。
思えばあの頃から、私の正義感や真面目さを鬱陶しく思わない彼に、私は惹かれていたのかもしれない。
そうしてなんでも受け入れて優しく接してくれる彼に甘えるばかりで。私は何もしてこなかった。秘書として努力はしてきたけれど、婚約者としての私は、どうだっただろう。正臣さんと結婚するのは、私で本当に良いのかしら。
何度も心の中で繰り返す疑問。でもその度に、あの日の彼を思い出す。
『絶対に離さない』
何か、彼の中で義務感のようなものがあるのだろうか。優しい彼だから、幼い頃から私の交友関係を縛ってしまったことに責任を感じているのだろうか。このまま流されて、彼の優しさを享受してばかりでいいのだろうか。
正臣さんとの同棲が始まって三日が経った。
相変わらず忙しい私たちは、会食続きでなかなか食事も自宅で取れていない。だが朝ご飯だけは用意している。母に家事を色々と仕込まれていたので、朝から出汁を取り、洗濯をして、掃除をする。今日のメニューは、土鍋で炊いた白ごはんとシジミの味噌汁、鮭の塩焼きとほうれん草のお浸し、甘い卵焼きときゅうりのお漬物。正臣さんはどんなに忙しくても朝ごはんを食べてくれる。私との結婚をどう思っているのか不安だし、急に婚約破棄をされたらと思うと不安もあるが、こうして同棲してみると、居心地が良くて驚いている。
夜はキングサイズのベッドで二人で並んで寝るのだが、緊張したのは最初の夜だけ。それ以降は安眠出来ている。手を出してこないあたりやはり私のことは好きではないのかもしれない。それでも、婚約者として、家事と仕事の両立を図るべく努力していた。
「おはよう」
「おはようございます」
「今日も朝ごはん作ってくれたんだ。ありがとう」
「お口に合うといいけれど」
「毎日美味しいよ。でも麗華も働いているんだから、無理しないで。嫌じゃなければ家政婦さんだって雇えるんだから」
「ありがとう」
寝起きの正臣さんは昔の彼を思い出す。仕事中のキリッとした彼とは違う、柔らかい雰囲気。あの頃の彼はふっくらした可愛い男の子で、泣き虫で、今と同じで優しかった。その頃の優しくほっこりする正臣さんを、想起させるのだ。
思えばあの頃から、私の正義感や真面目さを鬱陶しく思わない彼に、私は惹かれていたのかもしれない。
そうしてなんでも受け入れて優しく接してくれる彼に甘えるばかりで。私は何もしてこなかった。秘書として努力はしてきたけれど、婚約者としての私は、どうだっただろう。正臣さんと結婚するのは、私で本当に良いのかしら。
何度も心の中で繰り返す疑問。でもその度に、あの日の彼を思い出す。
『絶対に離さない』
何か、彼の中で義務感のようなものがあるのだろうか。優しい彼だから、幼い頃から私の交友関係を縛ってしまったことに責任を感じているのだろうか。このまま流されて、彼の優しさを享受してばかりでいいのだろうか。