いつも側に…
「足元平気?明日香浴衣なのにごめんな?」
「うん、何とか。ゆっくり行くから大丈夫だよ。」
私達は、砂浜の端にある岩場を歩いていた。
こちら側は海水浴は出来ないし足場が悪いから、地元の人じゃない限り滅多に人は来ない。
そして10分程歩いた先に目的地が見えて来た。
さっき純ちゃんが思い出した秘密の洞窟。
二人ともまだ幼稚園の年長だった時、純ちゃんの家族と我が家と海水浴に来た。
その時に二人で発見したんだ。
砂浜からは入り組んでいて見えない場所に、自然に出来た様な穴が空いている岩がある。
「…久しぶりだね、ここ。」
「あれ?……なんか、こんなに小さかったっけ?」
そう言いながら、純ちゃんは洞窟の天井に手を伸ばす。
「そうだね、純ちゃんの手が届いてるね。」
あの頃の二人にとっては、とても大きく感じた。
だけど久しぶりに来た秘密の洞窟は、こじんまりしていた。