いつも側に…

屋上を出て下駄箱まで来ると、突然純ちゃんが手を離した。



「どうしたの?」

「ごめん明日香。ちょっとトイレ行ってくる。すぐ来るから待ってて。」

「うん。分かった。」



屋上寒かったもんね…。


そんな事を思っている内に純ちゃんが見えなくなり、一人下駄箱でぼけっとしていた。





「――そっかぁ。頑張った、よかったね香織。」


そんな声が、二年生の下駄箱の方から聞こえて来た。


……香織?

嫌な予感がする。

悪いとは思いつつも、聞き耳を立ててしまう。



「田辺先輩の為にわざわざお守り買いに行ったんだもんね。」

「うん。でも、先輩達全員にもなんて、ばればれな嘘ついちゃったけど。」

「いいんじゃん、ばれたら告ればいいんだから。」

「ええ〜!だけど先輩彼女いるから…。」

「でもさ、サッカー部の先輩に聞いたんでしょ?田辺先輩は高校の寮に入るんだって。って事は、その彼女とだって毎日会えなくなるわけだし――。それって、香織にだってチャンスなんじゃない?」


< 267 / 366 >

この作品をシェア

pagetop