いつも側に…
屋上を出て下駄箱まで来ると、突然純ちゃんが手を離した。
「どうしたの?」
「ごめん明日香。ちょっとトイレ行ってくる。すぐ来るから待ってて。」
「うん。分かった。」
屋上寒かったもんね…。
そんな事を思っている内に純ちゃんが見えなくなり、一人下駄箱でぼけっとしていた。
「――そっかぁ。頑張った、よかったね香織。」
そんな声が、二年生の下駄箱の方から聞こえて来た。
……香織?
嫌な予感がする。
悪いとは思いつつも、聞き耳を立ててしまう。
「田辺先輩の為にわざわざお守り買いに行ったんだもんね。」
「うん。でも、先輩達全員にもなんて、ばればれな嘘ついちゃったけど。」
「いいんじゃん、ばれたら告ればいいんだから。」
「ええ〜!だけど先輩彼女いるから…。」
「でもさ、サッカー部の先輩に聞いたんでしょ?田辺先輩は高校の寮に入るんだって。って事は、その彼女とだって毎日会えなくなるわけだし――。それって、香織にだってチャンスなんじゃない?」