いつも側に…
――やっぱり。
香織さんは、純ちゃんの事好きなんだ。
「あ、ごめん。私部活戻らなくちゃ。」
「うん。私もそろそろ帰るよ。」
そんな会話をしながら、二人は揃って校舎を出ていく。
なんだか体に力が入らなくて、その場にしゃがみ込んだ。
"それって、香織にだってチャンスなんじゃない?"
その言葉が耳に残って、頭の中をぐるぐる回る。
だって、やっぱり、そういう事だよね?
側にいない、離れたところにいる彼女なんて。
遠慮する事ないって、みんな考えるよね?
私がもっと大人なら、大した距離じゃないって、笑い飛ばせるかもしれないけど。
今の私には出来ないよ。
離れたところにいる純ちゃんの気持ちを、つなぎ止めておける自信なんてない。
いつ、誰にとられてしまうか……不安で仕方ないよ。