いつも側に…

考え事ばかりしてて、全然純ちゃんの話を聞いてなかったし、周りも見ていなかった。



だけど確かに、目の前には私の家があって、隣には純ちゃんの家。

気付かない内に家に着いていた。



恐る恐る純ちゃんを見ると、ちょっとイラッとしているみたいで。

私なんて見てもくれないし
「はああぁ〜。」

と盛大なため息をついていた。



「純ちゃん、ごめん。」


慌てて謝った。

だけど純ちゃんは、私を呆れた様に見てぽつりと呟く。



「…何が?」


「え?」


「何がごめんなんだよ?――やっぱり、明日香おかしいよな?さっき教室でもそうだった。明らかに俺から目を逸らしたし。この頃ずっと、ぼけっとしてる。」

「そ、そんな事――」


だって純ちゃんの前では今まで通りにしてたし――。

「――俺さ、一緒にいる時以外だって明日香の事見てるんだよ?教室で悲しそうな顔して窓の外眺めてたり、授業中も全然先生の話聞いてないし。しかも、聞かれたくない話でもあるのか知らないけど、休み時間によく佐野と屋上行ってるよな?佐野に相談する聞かれたくない話って、俺の事じゃないの?」



「……純ちゃん…。」



言葉に詰まるっていうのは、こういう事なんだ。

図星過ぎて、どう答えればいいか分からないよ。



だって気付かれないと思ってたから。

もう、"離れたくない"なんて言えないから、私の不安はぶつけちゃダメなんだって言い聞かせてたから。


< 270 / 366 >

この作品をシェア

pagetop