いつも側に…

それから、私達は諦めた様に屋上を後にした。


ゆっくり階段を降りて行く。

踏み締める様に一歩一歩。




校舎を出ると、純ちゃんが待っていてくれた。


私達を見て、呆れた様に微笑む。



「明日香、おばさん達は先に帰るって。待ってられないってさ。」



あ…そっかぁ。

ママ達も卒業式に来てたの、すっかり忘れてた。



「ごめん純ちゃん。なんか、最後だと思うとなかなか帰れなくて…」


するといつもの優しい笑顔をくれる。


「俺はいいよ。さっきまで健太達と一緒だったし。」

中村君達か。

純ちゃんも皆と写真撮ってたんだろうな。



「そうだ田辺、サッカー部で写真撮った?」


「俺は撮って来た。でも顧問とマネージャーが、佐野だけ見つからないって探してたけど?」


「ヤバイ、忘れてた。最後に挨拶来いって言われてたの……。ちょっと行ってくる。
――明日香、またね!」


「あ、うん。またね!」


若葉は慌ててサッカー部の部室に走って行った。



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