いつも側に…





―――……



4月1日




今日はエイプリルフールだけど、残念ながらこれは現実。



大きな荷物はほとんど送ったらしい純ちゃんの部屋は、ベッドと机だけが寂しそうに残されている。



生活感のなくなったその部屋を、ぼーっと眺めていた。




「明日香。」


呼ばれて振り返ると、純ちゃんが立っていた。



純ちゃんの学校に制服はないらしいから、ジーンズにカットソーにダウンベストという普段着。


ダウンベストを着てるって事は、もう出発するのかな?


胸が切なくて、いたたまれなくなる。



「…もう、行くの?」


呟く様に落ちた言葉を聞いて、純ちゃんは悲しそうに微笑む。




「…もう行くよ。」


やっぱり呟く様にそう告げると、私の手を引いて抱き寄せた。



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