いつも側に…

「「行ってきま〜す!」」


支度を終えた私達は、純ちゃんの自転車に二人乗りをして中学校に向かう。

歩くと20分程かかる通学路も自転車だとたったの5分。

でも、純ちゃんに堂々と触れる事が出来るこの時間は私の宝物。


前を向いて自転車をこいでいる純ちゃんには私の顔は見えないから、ドキドキして真っ赤になっている事だって気付かれずに済む。




―――――

だけど、自転車はどんどん走っていき、もうすぐ中学校に着いてしまう。


もう終わりか…そう思っていると



「明日香〜!!すげえよ、桜満開だな!!」


純ちゃんに声をかけられ学校の方に目を向けた。


「うん!!本当だ、綺麗…。」


学校の校庭には20本近くの桜の木があり、その全てが淡いピンクの花を惜し気も無く咲かせていた。

まるで校舎がピンクの花で包まれている様に見える。


まだ少し肌寒いが、春の陽射しに照らされて桜達はキラキラと輝いていた。


私も純ちゃんも今日から三年生。

昨日よりほんの少しだけ大人になった気がする、まだまだ子供な私を、桜は歓迎してくれているようだった。

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