バスの中、総長様から逃げられない



ひぃえぇぇぇぇ……

こんな至近距離で、照れ顔なんかされると困るよ。



東条くんは左手だけ窓から外し、手のひらで口元を隠している。



うつむきながら、綺麗な瞳を自信なさげに揺らしていて。

急にリンゴみたいに、頬が真っ赤になっていて。

いつも絶対的魔王様並みに堂々としている彼が、オロオロを始めちゃった謎が解明できない。



普段とのギャップに、キュンてきちゃう。

私の顔面が燃えそうに熱い。

心臓なんかドクバク飛び跳ねまくり。



テレって伝染しちゃうのかな?

私まで恥ずかしくなってきちゃったよ。



このままだと、私の心臓がキケンみたいです。

キャパオーバーで、心停止からのバタリってしちゃうかも。

救急車出動で、この修学旅行がなくなってしまう可能性すらあるから……


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