バスの中、総長様から逃げられない
「ととと……とりあえず座ろうか……東条くん……」
ものすごく目立ってるし。
クラスメイト全員に、見られちゃってるし。
うん、それがいい。
「ねぇ、七瀬」
座ってくれない!
どど……どうしよう……
「その前に、俺に教えて」
えっ?
「いる? 好きな奴」
それって……
「……私の?」
「ああ」
「家族……以外?」
「恋愛対象として見れる奴。ちょっと気になってるくらいでもいい」
ひゃっ!?
なんでそんなことを聞くの!?
答えなきゃダメかなぁ……
素直に心の中なんて、さらけ出せないよ。
このバスに乗り込むまで、男子に興味を持ったことなんてなかった。
私が欲しいのは彼氏じゃない。
高校でお話ができる女友達。
でも……