バスの中、総長様から逃げられない
そうだ、良いことを思いついた!
焦りながら、リュックにスマホとしおりを突っ込んだ私。
荷物を胸の前に抱え、さっと立ち上がる。
「とっ……、東条くん……」
「何?」
ひぃえぇぇぇぇ!
あきらかなる不機嫌顔だぁ。
切れ長の目で睨まれてる。
でも勇気を振り絞って、声も絞り出して……
「えっとね……」
「ん?」
「嬉しいなぁって思って……あの、その……通してもらえたら……」
「通路に出たいわけ?」
「……うん」
「どこに行く気? もうすぐ先生が来るけど。トイレ?」
「ちっちちっ、違うよ……えっと……あの……」
「どこ?」
「望月くんのところに……行きたいなぁって……」
「ふ~ん」