バスの中、総長様から逃げられない
ふぅ~ 良かったぁ~
相変わらず彼の眉は吊り上がっているけれど、納得はしてくれたみたい。
あとは長すぎる東条くんの足を隅に寄せてくれれば、脱出成功。
女嫌いの総長様の怒りを、鎮めることができるはず。
そう思って、ホッとしたはずだったのに……
あれ?
私の期待とは裏腹に、総長様の足は前に伸びたまま。
まるで通せんぼをされているかのよう。
道をふさがれ、私は通路にたどり着くことができない。
「あのっ……東条くん……」
お願いだから……その長すぎる足を……どうにかして欲しくて……
「七瀬のどか。オマエさ、、、」
ひゃっ!
フルネーム呼びされた?!
めちゃくちゃダルそうな声だったけど。
一応は知っててくれてたんだ。
クラス一目立たない、根暗でボッチな私のこと。