君に甘やかされて溺れたい。


 ええっ!?私から!?


「そんなの無理だよっ!!」


 自分からするなんて……恥ずかしすぎて無理っ!!


「――紅ちゃん、どうしたの?」


 名前を呼ばれてハッとする。

 ちいちゃんが変なこと言うから、ずっと悶々としちゃってた……!!

 あっという間に放課後で、藍良くんと一緒に帰っているところ。
 手はいつ繋いだのか覚えてない。


「なんでもないよっ」

「そう?」


 ああ、小首を傾げてきょとんとする藍良くんもかわいいなぁ。

 藍良くんは唇も綺麗だな。すごく柔らかそう……って私ったらどこ見てるの!?

 や、やばい!さっきからやばい!
 自分にこんな煩悩的な一面があったなんて知らなかった……。


「紅ちゃん?具合悪い?」

「そっそんなことないよ!」

「でも最近寒くなってきたから、これ羽織って」


 藍良くんは自分のカーディガンを私にかけてくれた。


「えっでも藍良くんが寒いよ」

「大丈夫、僕体温高めだから。紅ちゃんが風邪引いたら嫌だしね」


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