君に甘やかされて溺れたい。


 ――ああ、私ってば最低だ。

 藍良くんはこんなに純粋に心配してくれてるのに、煩悩まみれだったなんて……!


「そろそろバイバイだね。カーディガン、そのまま着て行っていいから」


 えっ、もうバイバイなの?


「また明日ね」


 優しくポンポンと頭を撫でてくれる藍良くん。
 私が余計なこと考えてぼーっとしてたのが悪いけど、もっと一緒にいたい。


「……まだ帰りたくないな」


 自分自身が気づいてないくらい、自然と本音がこぼれ出ていた。


「えっ」

「あっ」

「紅ちゃん、まだ帰りたくないの?」

「……」


 どうしよう、思わずポロッと言っちゃった。
 藍良くんにだって予定があるんだし、きっと困らせてるよね――。

 その時、アイルくんの台詞が思い浮かんだ。


『俺の彼女なんだからもっと我儘言っていいんだよ』


 藍良くんはアイルくんとは違うけど、藍良くんも同じように思ってくれるかな?
 藍良くんの優しさに甘えてみてもいいかな?


「あのね、もっと藍良くんと一緒にいたい……っ」


 藍良くんの制服のシャツの裾を掴んで、思い切って言ってみた。


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