君に甘やかされて溺れたい。


 嬉しそうな笑顔がかわいくて、アイルくんに似ていてキュンとしてしまう。

 どうして藍良くんは私みたいな子に話しかけてくれるんだろう……?


「てかぶっちゃけさー、藍良って紅のこと好きなん?」


 若菜ちゃんの爆弾発言!


「す、」
「そんなわけないよっ!!」


 思わず藍良くんを遮って大声出しちゃった。


「えー?そうかな?」


 ちいちゃんも首を傾げる。


「てか二人、結構お似合いだと思うんだけど」

「それな。小動物系ってゆうか、ゆるふわカップルって感じ」

「そんなことない!私にはアイルくんがいるからっ」


 そう、私にはアイルくんがいればいいの。

 高校生にもなって子どもっぽいのはわかってる。

 でも、現実の男の子は怖い。
 アイルくんみたいな甘い男の子なんて存在しないんだから。


「でもさ、紅。中学の時はちょっといい感じだったことなかった?」

「そ、そんなことあったっけ?若菜ちゃんの勘違いだよー」

「そう?」

「私はアイルくん一筋だもん」


 痛くても子どもっぽくてもいい。
 アイルくんがいてくれるから、現実の恋はいらないの。


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