君に甘やかされて溺れたい。


 えっ、えっ、どういうこと……?

 藍良くん、私のことからかってる?


「ねぇ、どうしたらいい?」

「わ、わかんないよ……」

「僕ね、年の離れた兄がいるんだけど、初恋の人と結婚したんだ」


 えっ急に何の話!?

 藍良くんって時々ちょっと不思議だな。
 天然なのかな……?


「両親も初恋同士で結婚してて、僕もずっと憧れてたんだ。初恋の人と結ばれるんだって」

「そう、なんだ……」

「紅ちゃんは今好きな人いるの?」

「い、いないよ」

「今まで彼氏は?」

「そんなのいるわけないよ」

「じゃあ、僕が紅ちゃんの初めての恋の相手になりたい」

「ええっ!?」


 突然何を言い出すの?


「ダメかな?」


 上目遣いで小首を傾げるなんて、あざとくてずるすぎる。
 かわいくてキュンキュンしちゃう。

 藍良くんは甘い。
 蜂蜜と砂糖を混ぜ合わせたみたいに甘すぎる。


「……初めてじゃないよ」


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