まるごと大好き!
「私はね、都合のいい女でいい」
「ドラマじゃないんだから……」

 かなえはたれ気味の眉をさらに下げた。
 でも幸せだよ。嫌われているわけでもない。友だちとして、昂志とおしゃべりしたり勉強を教えたりして。
 うん、幸せだ。

「きっと本命の、いつでも一緒にいてくれる素直な子がすぐにできるよ」

 かなえはハッとした顔をして唇をかんだ。でもすぐに口を開く。

「木城くんが、そう言ったの?」
「言ってた」

 ……お墓まで持っていく秘密にしようと思っていた。
 でも2人きりだし、顧問の先生は来るまで時間がある。それに、かなえは人に言いふらすような子じゃない。
 うん、かなえになら話せる。
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