まるごと大好き!
 それからしばらくして、お母さんに教えてもらった。

「昂志くん、ご両親が事故で亡くなってしまったんですって」
「うそ……」
「卒業式の日だったそうよ」

 お母さんは、ショックでなにも考えられない私を抱きしめた。

「昂志くんには、優しくしてあげなさい」
「……うん」

 昂志は親戚のおばさんに引き取られると決まった。
 でも遠くへは行かずに、元々決まっていた中学に通えることになった。
 ……それを知ってほっとした自分が、大嫌いになった。
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