まるごと大好き!
「なんだ、キスしてくれねぇの?」
私は硬まった。
タレ目がこちらに向いて、面白いオモチャでも見つけたように細められた。
「……起きてたの?」
「いやさっき起きた」
やっとそれだけ言えた私は、ぎこちなく昂志から距離を取った。
けどそれを許してくれる昂志ではない。
「なんで逃げんの?」
「あ、いや違くて……起きるでしょ」
手をガシッとつかまれた私は、しどろもどろになって言い訳をした。
かなり挙動不審だけど、昂志は気にもしていない。
「んん……そうだな、起きるわ」
そう言ってゆっくり起きあがると、めいっぱい背伸びをしてふぅっと息をついた。
「そいで、静波は俺を襲いにきたの?」
「襲っ……!?」
なんつーことを言いだすの、この男は!!
「別に静波ならいいんだけど」
「……合原先生が探してたの。私はその手伝い」
「素直じゃねぇの」
のるな、私。のったらますます調子に……。
「ああ……そっかー、こないだのあれか」
「……またケンカでもしたの?」
「してないしてない」
動揺は吹きとんで、今度は心配だけが私の心を支配した。
昂志は中学にあがってからすぐに、不良の先輩に目をつけられた。新入生の中でも一番体格が良かったから、たぶんそのせいだと思う。
放課後に呼びだされた彼は、なんと先輩たちを返り討ちにしてしまった。
もちろん無傷じゃない。ギリギリの勝利だったらしく、保健室に現れた昂志はおでこから血を流していてその場で倒れたのだという。
それからだ。昂志が教師やクラスメイトから〝不良〟のレッテルをはられるようになったのは。
私は硬まった。
タレ目がこちらに向いて、面白いオモチャでも見つけたように細められた。
「……起きてたの?」
「いやさっき起きた」
やっとそれだけ言えた私は、ぎこちなく昂志から距離を取った。
けどそれを許してくれる昂志ではない。
「なんで逃げんの?」
「あ、いや違くて……起きるでしょ」
手をガシッとつかまれた私は、しどろもどろになって言い訳をした。
かなり挙動不審だけど、昂志は気にもしていない。
「んん……そうだな、起きるわ」
そう言ってゆっくり起きあがると、めいっぱい背伸びをしてふぅっと息をついた。
「そいで、静波は俺を襲いにきたの?」
「襲っ……!?」
なんつーことを言いだすの、この男は!!
「別に静波ならいいんだけど」
「……合原先生が探してたの。私はその手伝い」
「素直じゃねぇの」
のるな、私。のったらますます調子に……。
「ああ……そっかー、こないだのあれか」
「……またケンカでもしたの?」
「してないしてない」
動揺は吹きとんで、今度は心配だけが私の心を支配した。
昂志は中学にあがってからすぐに、不良の先輩に目をつけられた。新入生の中でも一番体格が良かったから、たぶんそのせいだと思う。
放課後に呼びだされた彼は、なんと先輩たちを返り討ちにしてしまった。
もちろん無傷じゃない。ギリギリの勝利だったらしく、保健室に現れた昂志はおでこから血を流していてその場で倒れたのだという。
それからだ。昂志が教師やクラスメイトから〝不良〟のレッテルをはられるようになったのは。