まるごと大好き!
「インネンはつけられたけど、廻が助けてくれた」
「そう……なら良かった」
「カンチョーで」

 昂志は指を組み、人差し指だけを立てる。
 手だけ見るとピストルのようだけど、真岡くんにかかればそれ以上の凶器になると、私たちは知っている。

「全員、ケツおさえてた」

 そのときの光景を思い出したのか、昂志はくつくつと喉で笑った。
 小学生時代のような、イタズラっ子でワルガキな笑顔だ。久しぶりに見た。
 いつもは、眠そうでだるそうな顔ばかりしていたから……少し、安心した。
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