まるごと大好き!
「で、生徒会長様は俺を連行しにきたわけだ?」
「そうだよ」

 ウソをついてもすぐにバレてしまうと思い、私は正直にうなずいた。
 昂志を警戒しているのは生活指導の教師だけじゃない。担任も、校長も、カウンセラーも、大人たちはみんな彼を問題児だと思ってる。

「やはり親がいないと……」

 そんな心ない言葉から始まる悪口を、昂志は何度聞いてきただろう。
 今日だって詳しい状況を知りたいとお題目を掲げてはいたけれど、きっと昂志がなにかしたんだって疑っているんだとわかった。
 ……できるなら、先生には見つかってほしくない。

「うーん、行かないとダメだよな」
「……そうだね」
「んじゃ、こうしよう」

 昂志がベンチの空いてる場所を指でさした。大人しくそこに座ると、昂志は私のひざに頭をのせてきた。
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