まるごと大好き!
 うおっ。
 木城が、かんきわまった? かんきまわった? 顔をして愛をささやいたかと思ったら……!
 鐘石を、ひしっと抱きしめてやがる……! やるな……!

「ちょ、う、し、に、の、る、な」

 しかし鐘石は冷静だった。
 木城の両耳をひっぱりながら、それはそれはいい笑顔で警告した。ぎゅうぅぅ〜〜っという効果音がおれの耳にまで届きそうだ。痛い痛い痛い。
 木城も痛そうな表情になって鐘石から手を離した。鐘石も耳から手を離し、教室には戻らず一階へと早足で行ってしまう。
 上の階──屋上へと向かう階段におれは座っていたから、彼女の顔が上ほうからよく見えた。
 ──ゆでダコもびっくりレベルで赤かった。
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