まるごと大好き!
「なんか落ちこんでるね?」
「落ちこむわ……」

 静波の部屋で、俺はうなだれていた。
 せっかく2人きりで勉強を教えてもらう約束をしていたのに、だ。
 今度こそ、真剣に告白して彼氏彼女になる予定だったのに……。

「俺、カッコ悪いじゃん……」
「なにが?」
「好きな女の子に助けられるとか……」

 言ってから「しまった!」と思ったが、静波は赤くならない。
 それどころか、俺の顔を両手ではさみ、目を合わせてきた。

「ねぇ昂志」
「私ね、あのとき……間に合ってよかったって、本気で思ったよ」

 静波の目には、真剣な光があった。
 俺を、本気で心配してくれてたんだ……。
 それでも。

「危ないマネ、もうしないでくれ」
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