まるごと大好き!
「真岡くん、何してんの……」
下のあたりから声がした。
おれはニカッと笑ってみせる。
「ナレーション」
二の腕くらいまでの、クセのない黒髪をお下げにした同級生──君嶋かなえはジト目でおれを見上げている。どでかいため息でもつきそうだ。
「二人にバレたら怒られるよ」
「むしろ感謝してもらえるだろ。キューピーちゃんになったんだから」
「キューピットね」
遠い目をしはじめた君嶋に「そう、キューピット」とおれは笑う。
「ああもう、ほら、あれだ。あいつらの頭つかんで互いにチューさせたい。マウストゥマウスで」
おれは鼻の下をこすった。
「そうすりゃ全部解決だ」
「余計にこじれるよ、絶対やめな?」
君嶋の目が険しくなった。彼女からすると、「本人たちには本人たちのペースがある」らしい。なんかそんなCMがあったっけな。乳酸菌の。
とにかくおれは君嶋の意見に従って、微笑ましく? 穏やかに? 見守ることにした。下手なマネをしてまた顔面パンチが飛んできたらたまったもんじゃない。
下のあたりから声がした。
おれはニカッと笑ってみせる。
「ナレーション」
二の腕くらいまでの、クセのない黒髪をお下げにした同級生──君嶋かなえはジト目でおれを見上げている。どでかいため息でもつきそうだ。
「二人にバレたら怒られるよ」
「むしろ感謝してもらえるだろ。キューピーちゃんになったんだから」
「キューピットね」
遠い目をしはじめた君嶋に「そう、キューピット」とおれは笑う。
「ああもう、ほら、あれだ。あいつらの頭つかんで互いにチューさせたい。マウストゥマウスで」
おれは鼻の下をこすった。
「そうすりゃ全部解決だ」
「余計にこじれるよ、絶対やめな?」
君嶋の目が険しくなった。彼女からすると、「本人たちには本人たちのペースがある」らしい。なんかそんなCMがあったっけな。乳酸菌の。
とにかくおれは君嶋の意見に従って、微笑ましく? 穏やかに? 見守ることにした。下手なマネをしてまた顔面パンチが飛んできたらたまったもんじゃない。