まるごと大好き!
 ……なに考えてるの。現実逃避してる場合じゃないのに。
 私は耳をすました。彼らの会話から、1つでも多く情報を得られるようにしないと。

「おいババア! なに持ってきてんだ!?」
「ババアとはなによ! 雇い主に向かってなんて口の──」
「なんでガキの荷物持ってきてんだ!」

 怒鳴り声にビクッとしてしまったけど、麻袋の中でホッと息をついた。あのお婆さんは、私の荷物を持ってきてる!

「GPSでもついてたらどうすんだ!?」
「な、なに? じー……?」

 男の1人が「ああ、もう!」とイラついた声で、叫ぶように言った。

「あとつけられて捕まったらどうすんだって聞いてんだよ!」
「持ってるとあとをつけられるの……?」
「そう言ってんだろ!」

 なんなのコレは?
 コントかなにか見せ……聞かされてるの?

「だって退学の手続きしないとって……」
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