まるごと大好き!
「あれ、君嶋?」
「真岡くん?」

 きょとんとした顔の真岡くんが私たちを出迎えた。
 側には木城くんもいる。表情を硬くして、ずっと閲覧台に置いてあるスマホをにらんでた。

「静波ちゃんになにかあったんだよね?」

 私がそう言うと、真岡くんは驚いた顔でうなずいた。

「よくわかったな」
「なんとなく、ね」

 私はそう言って木城くんに顔ごと視線を向けた。
 木城くんは、真一文字に結んでいた口を重々しく開いた。

「さっき、静波から電話がかかってきて……」

 木城くんはスマホを手に取って操作した。

「別れたいって、言われた」
「え……」
< 71 / 82 >

この作品をシェア

pagetop