まるごと大好き！
　当然のことだけど、私の退学も結婚もなしになった。
　３人には、本当に感謝してもしきれない。

「あの男は、自分の娘を借金のカタとして私と結婚させようとしたんです」
「母もそれに協力し、私を騙し料亭まで呼びだして……」
「そこに、彼女がいて……結婚するよう２人に言われたんです」
「鐘石さんには本当に申し訳ないことをいたしました。あの２人は、私が厳しく監督いたします」

　……おじさんが、まともな大人で本当によかったと思う。
　料亭まで連れさられ、そこで数年ぶりにあの男（お父さんとは死んでも呼ばない）に会った。

「お父さんを助けると思って……」

　そうお願いされて、私は退学と結婚を突きつけられた。
　結婚はすぐにできないから、退学したら数年間はお婆さんのとこで花嫁修行をしてもらう、とも言われた。
　私は思考をフル回転させて、彼氏に別れの電話をさせてほしいと頼みこんだ。自分の目の前で電話するならいい、と許可されて、私は必死で暗号を考えて、昂志に伝えた。
　どうか気づいて、助けてと。
　その願いはちゃんと通じた。
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