危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

「やめて!」
 
 思い切り身をよじり、逃れようとすると壁に倒れこんだ。近くにあった飾り棚に体が当たり、中身とともに派手な音を立てて倒れた。
 倒れこんだすみれを見て、達也が青ざめる。

「私が、勝手に倒れただけだから、気にしないで。もう帰って」
「悪かった。怪我は?」
 
 肩に手をかけられ、反射的に振り払うと、扉を叩く音がした。

「宝来先生から電話です」

 片桐の声だった。
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