危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
「わかりました。今行きます」

 立ち上がり、着衣と髪をととのえる。狼狽した達也に、帰るように促す。

「さようなら」
「すみれ……」

 達也が帰ったあと、片桐に礼を言う。電話などかかってきていなかった。音がしたから、機転を利かせて様子を見にきたのだろう。

「ありがとう」
「なにかされましたか」
「私が、よけようとして転んだの」

 眉を寄せ、無言になる。

「二人で会うのはおすすめしません」
「ええ。気を付けます」

 それ以上、話すことはしなかった。

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