危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
「ああいう家の跡取りは生まれた時からプレッシャーが凄まじいんだ。自由に仕事を選んだお前とは違う。若いうちに羽目を外して失敗することもある」
「信頼できない人と結婚はできません」
「脛に傷がない人間を選んだからといって、生涯裏切られないという保証はない。人間誰しも間違いはある。お前は、世間を知らないで来たから、許せないのだろうが、水清すぎて魚住まずとも言う。許しと寛容は必要だ」
「でも私はいやです。私だけなにも知らされないなんて」
「ちょうどお前の病気がまた悪化した時だったからね。黙っておくのも優しさだろう」

 話があまりに嚙み合わず、すでに気分は絶望的だった。静かな、だが有無を言わせぬ口調で一気に言われる。

「私の気持ちよりお金のほうが大切ですか」

 怒りより悲しみのほうが強かった。
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