危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

「宝来さんって、ほんとにすごい家の人だったんだね。びっくりしちゃった。たかが婚約でこんなにすごいパーティーするなんて」
「そりゃそうよ! 相手もどこだかの御曹司でしょ? そりゃ宝来さんに仕事もいくわよね」
「会社だとおとなしいからビックリだわ。高そうな指輪ひけらかしちゃってお金持ちって悪趣味だよねぇ」
 
 入社してすぐ、ダメ元で出したコンペに、すみれの作品が選ばれた。本来、デザイナーの名前は小さく表記される程度だが、その時は違っていた。
 すみれの父のことがわかるようインタビューまで掲載されていた。
 そのことには、すみれも引っかかってはいたが同僚たちはすみれ以上に不審に思ったことだろう。

「やっぱどの世界もコネだよね」
「ほーんとイヤになっちゃう。いくら頑張ったって、大臣のお嬢様が出した拙いデザインが採用されるんだもん、やってらんないよね」

 最近大手化粧品会社が売り出す香水のデザインもすみれが担当することになった。大々的に広告も出される予定の大きな仕事だった。
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