危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

「送っていく」
「蓮! 父さんも母さんもあなたのことを心配してるの。一度家に帰って」
「そのうち帰るよ」
「話がしたいの。部屋の前で待ってるから」

 蓮に対してどこか遠慮がちだった養父母と違い、年が近い義姉は昔からずけずけと蓮のテリトリーに入ってくる。それが、純粋な家族としての愛情であれば受け入れることもできたかもしれない。
 家族としての情と執着。複雑な色をする麻美の感情は、蓮を麻美から遠ざけさせた。

 仕方なく麻美を残し、不安そうなすみれを送る。突然見知らぬ女がやってきて不審に思っているのだろう。

「姉なんだ。心配させてごめん」
 
 そう言うと、すみれは少しほっとした顔をする。自分からは聞けないすみれがかわいそうだった。そうさせたのは自分だった。
これ以上嘘を重ねないために寡黙になることを選んだせいで、すみれも最近口数が減ってくる。
 いっそ全てを告白して楽になりたい。そのうえですみれに愛を乞いたい。もしもすみれが拒絶したら? 許されなかったら?
 そうしたらまた真っ暗なところへ一人戻るだけだ。自分の弱さを憎悪している。本当の自分を知ってもすみれの愛情は変わらないのだろうか。
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