危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
すみれを送ったあと、部屋に戻ると麻美は部屋でまだ待っていた。なにかあった時のために合鍵を持っていったままだったのだ。
「あの子……宝来正道の娘でしょ? 娘を復讐に利用するの? それともまさか本気なの。彼女はなにも知らないんでしょう」
義姉の矢継ぎ早の詰問に心を抉られる。
──そうだ。すみれを愛してる。それも本気だ。
何度もやめたほうがいいと、理性ではわかっていても、結局できなかった。
別れて、すみれが別の男を選ぶ未来を思うと狂いそうだ。
だが、これから一体どうするというのだ。自分の両親はあなたの父親に殺された。だから真実を知るため偽名を使って近づきましたとでも言うのだろうか。
絶望的な事実に行き当たる。嘘でまみれた虚飾の自分。まだ宝来正道への憎しみも捨てきれない。
すみれはそれでも自分を受け入れるだろうか。
こんな自分がすみれを幸せにできるのか。