危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

 すみれは愛に飢えていて、自分を切実に愛し求めている。蓮にも同じだけ愛してほしいと願っている。そんな相手がついた致命的な嘘を知ったらどうなることか。
 自分はすみれにとって疫病神なのではないか。愛する資格があるのか。
 事件のことを知って、優しいすみれが耐えられるはずがない。
 すみれを守りたいと思っているのに、本当のことを言えば誰よりもすみれを傷つけてしまう。
 その矛盾を正面から義姉に突き付けられ、思考が停止する。

「世話になったのに、なにも言わなくてごめん。でももうガキじゃないんだ。自分の人生は自分で決めたい。迷惑はかけないから」
「なにもあなたを束縛したいわけじゃない。ただあなたがいつまでも過去に囚われて不幸に自分から進んでいくのには我慢できないだけ」
「義姉さんも俺に囚われないで幸せになってくれ」
 
 去ろうとする蓮に麻美が後ろからすがりついた。
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