危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
テレビをつければ一日何度か目にする今国民の期待の政治家だった。ストレートで率直な物言いと、時にユーモアもまじえた演説でメディアも味方につけている。現在の政治からの変革をかかげ、幅広い層から支持を集めていた。
巧みな話術で作り上げた独特のキャラクターは確かにカリスマ性があった。
党内では、史上最年少ではあるが次期総理大臣として推薦する声も多い。
「よくぞここまで表と裏を使い分けたものだ」
半ば呆れて、乾いた笑いが漏れる。
このうちの一つでも表に出れば失脚しかねない。そんな書類ばかりだった。
だがこんなものは大したものではない。奴の本当の正体、自分に敵対する者を葬り去った証拠。自分が探しているものは、まだ見つからない。