危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

 スーツこそ着ているが、堅気のサラリーマンには到底見えない。
週刊風月のエース記者北田英二だった。腕には派手なブランド物のいかつい時計をしている。
 いかにも俗物といった雰囲気が、著名人のスキャンダルを狙う記者としてはあまりにふさわしい。
なにかいい情報でも得たのか興奮を隠し切れない様子だった。

「どうだ? 例の件は」
「色々あるにはあるが、まだ肝心の書類は見つかってない」

 書類を渡すと北田が嬉しそうに目を細める。政治家はただでさえ敵が多い。
この男もまた宝来正道の破滅を望んでいる。
蓮と違って、その理由は自分の記事を世に認めさせるビジネス的な目的だが。

「まぁ、あっちの事件は年数が経っているからね。とはいえ、豊作なんじゃないか」
「まぁね。あんたが言ってたように権力を持ってはいけない典型的なタイプだな」
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