危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

 達也とよりを戻すと嘘をついて、蓮に別れを告げた。あの時の蓮の悲痛な顔を思い出す。

「達也がすみれのことを教えてくれた。すみれの幸せを願ってたよ」

 達也に傷つけられたと思ったこともあるけれど、自分が傷つけたこともあるのだろう。長い時を経て、許し、許されることもあるのだと知る。

「私、ひどい嘘をついたわ。自分勝手だった」
「すみれのせいじゃない。もういい。未来のほうが大事だろう」
「私は……、私たちは、一緒に生きて幸せになってもいいのね」
「ああ」
「遠回りしちゃったね」

 そう言って、蓮はすみれの手を取り、ポケットから小さな箱を取り出す。
 中にはダイアモンドのついた指輪が入っている。蓮はすみれの薬指に指輪をはめた。ここ最近痩せてしまったので、ゆるくて落ちそうだった。
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