危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
「いつのまに?」
「三年前かな。サイズ、直すか」
「三年? すぐに太ると思うから大丈夫」
すみれが別れを告げたあの頃、蓮はすみれにプロポーズするつもりだったことを知り、切なくなる。
一分一秒でも長く生きたい。蓮を一人にしたくない。蓮と一緒にいたい。長いこと薄れていた生きることへの欲求が、魂の奥深くでじんわりと、でも確かな熱をもって大きくなっている。
右手で指輪をなぞる。触れていると色々な思いが込み上げてくる。本来なら出会うことはなかった二人だ。でもこうして手を取り、心を重ね想い合っている。
あの日逃げ出した弱かった自分のことも、やはり蓮といたいと願う欲深い自分のことも、今なら全て受け入れられそうな気がした。
「全部忘れて、幸せになっていいの?」