危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

エピローグ 書き換えられた物語の結末は


 少女は床に寝そべったまま、自分の部屋でパラパラと絵本をめくっていた。小さな頃から繰り返し読んできた絵本でもう内容は覚えているのに、ふと目に入って読み直したくなったのだ。
 きれいな色使いが気に入っていた。
 一枚一枚がとてつもない密度で描かれているから、子供心にとてつもない時間がかかったのだろうことはわかった。
 ママが手作りした絵本だから、世界に一冊しかないんだよとパパが言っていたから大切にしている。

 ママは普通の人より体が弱くて、私を産むのにうんと苦労したと聞いた。生きるか死ぬかそれくらいの覚悟で、パパと長く話し合って決めたのだと言う。
 だけどいつも優しく微笑んで、辛い顔をあんまり見たことがない。
 とても穏やかで幸せそうに見える。そんなママをパパは宝物みたいに扱う。
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