危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
いつかこうなることは、心のどこかで予感していた気がする。いいことだろうと悪いことであろうと、望もうと望むまいと、すみれにとって避けられない運命のように思われた。
柔らかく何度も重なった唇が、触れた部分から熱を帯びてくる。冷え切った体が震える。
その意味を問おうと唇を開いた瞬間、再び唇が重なった。今度は深く激しく。
「んっ」
息もできないほどに、唇を貪られ、思わず顔をそらそうとすると、逃すまいと大きなてのひらがすみれの頭を抑えた。
緊張と混乱の中、じわじわと熾火のように体の芯が熱くなり、頭の中が白みはじめる。
今はこの手以外にすみれが頼れるものは何一つなかった。
──どうして今までこの思いをごまかしていられたのだろう。
「俺はあなたが思ってるような人間じゃない」