もっとドキドキさせて
夢の中 #2
―――――




小学6年生になった4月。

いつもみたいに玲と遊ぼうと思った。

優しい玲の声が聞きたい。


「玲、遊ぼう」
そう声をかけたのに、玲はいつもと違う雰囲気で私を見つめた。

『お嬢様…これからは、そのようなことは控えさせていただきます。』
冷たい声だった。

その声を聞くと同時に、以前の玲よりも背が伸びて声のトーンが違うことに気づく。

前の玲はどこ?
私に『大好き』って言ってくれた玲はどこ?





―――――


またこの夢だ。

生々しい記憶が頭をかすめる。

いつものように心細くなり、玲に抱きつきたくなる。
そんな気持ちをぐっと堪えて、眠りについた。

また、さっきと同じ夢を見ませんように…







うとうとしながら夢の中に入る直前、玲の指が私の髪を優しく触った気がした。
< 10 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop