この度、友達やめます。
「ハンバーグごちそうさまでした」
水ノとファミレスを出た
「水ノに彼女ができたから仕方ない」
「吉永は寿司がいんだっけ?」
私に彼氏ができたらお寿司でも行く?
水ノのおごりで
そういう約束だっけ?
「覚えてた?」
「覚えてた」
「できるわけないって思ってた?」
きっと水ノは
私に彼氏なんかできるわけないって思って
軽く約束しただけでしょ
「できるわけないって言うか…
できなきゃいいな…って
ちょっと思ったかも…」
「え?なにそれ
酷くない?」
「あの時もオレ
吉永のこと…好きだったんかな?」
「なにそれ…」
夏休み1日目が終わる
夜空を見て思った
夏休みの最後の日
私と水ノはどぉなってるかな?
「明日、水ノ何してるの?」
気まずくならないように
適当に会話を繋げる
「髪切る予定」
「へー…そーなんだ」
「会いたかった?」
「え…」
「別に…ってカンジ?」
私の適当な質問に
水ノの予期しない質問
回答に困る
「会いたいとか言ってもいいの?」
「会いたければいんじゃね?」
なにそれ
普通に照れるよ
「でも私、明日バイトだから…」
「うん、そーだけど…」
「でも、会いたいかも…」
あ、気持ちが声に出てしまった
「かわいいな…」
「え?」
かわいいって聞こえた
誰が?
「今、吉永のこと
かわいいと思ったから言っただけ」
私!?
こーゆー時
どんな反応したらいいかわからない
「かわいいとか…言ってもいいの?」
「いいでしょ
彼女だし…
かわいいし…」
こんなの水ノじゃない
ドキドキさせるな!
「かっこいい」は言われたことあるけど
「かわいい」は言われ慣れてない
「吉永も一緒に美容院行く?
最近行ってなくね?
髪伸ばしてんの?」
水ノは長い方が好きかな?
元カノ長かったよね
「伸ばしてるわけじゃないけど…
この前、美容院でコンテストのモデル頼まれて
夏休みにそのコンテストがあるんだって
それで伸ばしてる
だからまた短くなるんだけど…」
別に水ノのために伸ばしてるわけじゃない
「あ、オレも頼まれたコンテストじゃん」
「うん、それ
水ノ、断わったんでしょ」
「普通断わるでしょ
自分の好きな髪型じゃないし
金髪とか言ってたし…」
「私は特にこだわりないから…
学校始まる前に
黒髪に戻してくれるって言ってたし
女の子ぽいのとか似合わないから…」
「吉永はちゃんと女の子だよ」
「よく言うね
水ノが私に最初に話しかけてくれた言葉
覚えてないの?
吉永って最初、男だと思った…だよ」
「そんなこと言ったっけ?」
「覚えてないの?」
「や…スゲー覚えてる
とぼけた」
「もぉ!ホント失礼!
って言うか、男だよね
みんなに男前とか言われるし…」
笑って水ノを見たら
水ノは笑ってなかった
目が合って
水ノの手が私の髪を触った
なに?
ムズムズする
水ノは彼女いたから
こんなのなんでもないことなのかな?
私はすごくドキドキする
友達の時はなかったことだから
「オレ、ちゃんと女の子と付き合ってるよ
別に男好きだって自覚はない」
周りから見たら
私達、ちゃんとカレカノに見えてるかな
水ノに迷惑かけないように
ちゃんと女の子になろう
「うん
ちょっと髪伸ばそーかな…」
「オレは吉永がどんなでも好き
短いのも似合ってるよ
でもコンテスト、オレが出るわ」
「だって水ノ、嫌なんでしょ」
「んー…でも
吉永がコンテスト出るとか
もっとヤダ」
「なんで?」
「だってみんなに見られるんだろ
そんなのオレ耐えられないわ」
今のは、どーゆー意味?
良くも悪くも取れる言い方
「じゃあ、水ノに任せよう」
「うん、まかせて!」
水ノが近くなる
月の明かりを水ノが遮る
え…これって…
ドキン…
水ノ…
「写真撮ろ!
吉永、昨日言ってたじゃん
写真撮りたいって…」
なんだ…
写真ね
私、何かと勘違いした
うん、写真撮りたかったよ
もぉ消したくないからね
夏休みいっぱい思い出作ろうね