この度、友達やめます。
「水ノ様、ごちそうさまでした」
「もっと言ってくれてもいいよ」
家着でサンダルで
水ノとふたり夏の夜道を歩く
今日も女の子ぽい格好ではない
ごめん、水ノ
「えー…
水ノくん、カッコイイ♡」
「ホントに思ってねーだろ」
彼女になって
なんか変わったかな?
変わらなきゃって思うんだけどね
「お茶飲んでむせた顔、サイコーだった」
「オマエ、かわいくないな…」
相変わらず
水ノといると楽しいよ
「かわいくない彼女でごめんね」
「まぁ…かわいくなくないけど、な…」
「え…それどっちよ
わかりやすく言ってよ」
「吉永バカだから
わかんねーだろ」
道端の小石を蹴りながら
「うん、バカだからわかんない」
水ノが少し先で私を待つ
「遅せーよ
早く歩け…」
とか言いながら
追い付いた私の手を水ノが掴んだ
ドキン…
私の胸だけ鳴るのは嫌だ
「水ノ、好きだよ」
とか言ってみる
「ホントに思ってる?」
「うん…思ってるよ
水ノバカだから、言ってあげる」
夏の夜風に
水ノの匂いが乗って私に届く
私の好きな匂い
あの時の香水の匂いは嫌い
「ありがと…
オレも好き」
ドキン…
友達の時は
なかった気持ち
友達の好きを何倍にした好きかな?
きりがないくらい好き
そんな気持ちになる
私の中に
こんな気持ちあったんだ
「水ノ…暑い…」
「オレも暑い」
「コンビニ寄ってこ
水ノ、アイス買って!」
「ハイハイ…」
帰りたくない
水ノとまだ一緒にいたい