この度、友達やめます。

ドーン…ドーンドーンドーン…



みんなとは一緒に花火に来なかった

水ノと約束してたから



「花火の音ズレてるね」



「うん
結構ズレてる」



「もっと近くに行けばよかったかな?」



「や…オレはここでいい」



近くに行ったらみんなと会って
合流しちゃうのが嫌だって水ノが言うから

離れた土手で水ノとふたり
や…他にも数組いるけど
みんな知らない人ばっかりの土手で花火見てる



一応ふたりともちゃんと浴衣で

言わないけど
水ノ、浴衣似合ってる



ドーンドーン…ドーン…ドーン…



「あ、今のキレー…
水ノ、見てた?」



「雫月…」



「え…」



「綺麗な名前だから呼んでみたかった」



「前にも水ノ、そう言ってくれたよね
嬉しかった」



ドーン…ドーン…



なんか花火に集中できない

さっきから胸の音と花火の音が重なる



「雫月…って
なんか、やっぱ慣れない
オレ、キモくね?」



「うん、なんかね…
水ノ、キモ…」



「やっぱ?
やっぱり吉永は吉永がいいか」



「うん」



ハジメ…って
私も心の中で呼んだことある

なんかダメだった

付き合っても
私と水ノは吉永と水ノだ



将来もしも…
もしもだよ

結婚しても吉永と水ノなのかな?

なんて考えてみたらおかしくなった



「吉永なに笑ってんの?」



「ん?内緒!」



「吉永、ヨダレ出てる」



「出てないしー!もぉー!」



ドーンドーンドーン…ドーンドーン…



私と水ノってムードない

浴衣の意味ない



「シー!みんな花火見てるから…」



水ノが笑わせるから悪いんでしょ



ドーン…ドーン…

ドーンドーンドーンドーンドーン…



花火の音に負けないくらい
私達の笑い声響いてるかも



楽しいよ

水ノ



水ノといつまでも
この関係でいたい


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