この度、友達やめます。
彼女ができた日

「水ノくん
コレ水ノくんのノートだよね?」



「あ、オレの…
どーして?」



「ごめんね
私、間違って持って帰っちゃったみたいで…
探したよね?本当にごめんね」



「うん
でもあってよかった
ありがとう」



探してたノートが見つかった

なんだ塾でなくしたのか



「水ノくんて、字綺麗だね」



「そお?
読みやすいとはよく言われる」



同じクラスの吉永によくノートを貸す


「水ノの字って黒板の字より読みやすくて好き」
吉永にそう言われたことはある


たぶん
吉永はいつもノート取ってないから
借りたいだけだと思うけど



吉永は女子だけど
男みたいな字を書く


自分の名前だけは綺麗に書く

吉永 雫月

雫月って名前がオレは好きだ



「水ノくんの名前って
最初なんて読むのかと思った」



「あー、ね…
画数少ないしね」



塾で初めて話した他校の子

普段女子とあまり話すことないから
少し緊張した



あ、吉永って女だった

アイツとは毎日話してるか…



「水ノの名前って簡単でいいね」
吉永にそう言われたことがあった

いいねって一応褒めてる?

簡単て…

世界一画数が少ない氏名は
何画なんだろう?

オレかな?



「私、滝能瀬 華織(たきのせ かおり)」

塾の子から
名前が書いてある女子っぽいメモを渡された


画数多すぎて
目がシパシパする


名前の下にIDが書いてあった



「水ノくんと友達になりたい」



「あー、うん…いいけど…」



「ホント?よかった」



そう言って髪を耳に掛けながら笑った

誰かと違って女の子ってカンジ



運命の出会いってやつかもしれない



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