この度、友達やめます。
「ごめん…
…
吉永、帰れる?
…
吉永が落ち着いたら
帰ろうか…」
答えを出せない私に
水ノが痺れを切らした
泣きすぎて
背中が痛い
沈黙の中
結構時間が経った
沈黙って言うか
これじゃ何も言えない
とりあえず今の私の気持ちは…
「これじゃ…
…
こんな紙ナプキンじゃ…
…
足りない…」
「…え?」
「水ノの…バカ…
…
涙…止まらない…」
水ノのYシャツを掴んで
涙を拭いた
頬の涙が水ノのYシャツに
吸収されてく
背中をゆっくり
誰かが押して水ノが近くなった
水ノしかいないはずの部屋
水ノの胸に吸収される
水ノの匂いする
「吉永に
胸ぐら、つかまれたと思ったわ
…
まぁ、1発殴られても仕方ないか…」
このノリ
友達だった時の水ノだ
「水ノの…バカ…
…
1発じゃ、済まないから…」
「うん…
覚悟しとく
…
オレのこと、嫌い?」
ズルい聞き方
「水ノ、バカだから…わかんない?」
「うん…ごめん…」
「水ノ、バカだから
私の気持ち、わかんないでしょ
…
水ノに彼女ができて、嬉しかったのに…
…
水ノに友達やめようとか言われて…
…
すごい、イヤだった
…
水ノのこと…
…
水ノがいなきゃ…
…
私、イヤなんだって…
…
水ノが…」
背中をギュッって押されて
水ノの胸に閉じ込められた
動けない
息できない
水ノに包まれる
「オレ、バカだから言うけど…
…
吉永のこと、好きだよ」
耳に響く水ノの声
背中に当たる優しい手
痛かった背中が少しずつ楽になる
ゆっくり息を吸う
水ノの匂い
好きだ
「騙してない?私のこと」
「騙してない
マジで、好き」
この言葉
ずっと欲しかったのかもしれない
「水ノのバカ…
…
好きだよ、水ノ」
言った瞬間
心臓がバクバクして身体が熱くなった
その塊を
水ノはもっとギュッとした
「ありがと…
…
大切にする…吉永のこと」
「ん…息できない…潰れそう…
…
もっと大切にしろ!
水ノのバカ」