※彼の姉ではありません

背と腹



 それから朝ご飯を食べて、私たちは別れた。幌延さんは午後から仕事があるそうで、タクシーを捕まえて颯爽と乗りこんでいった。


「必ず連絡します」


 私の目を見ながら力強く言いきってくれた。
 その誠実な雰囲気を信じてみたいけど、未だに半信半疑のままだ。

 一晩頭を冷やせば、きっと「なんて馬鹿げた真似をしたんだ」と後悔するに違いない。いくらお祖母さんが落ちこんでるからといって、突拍子もないにもほどがある。

 私は役所に向かい、そこで支援制度を紹介してもらった。公営住宅で一時的に暮らせるらしい。補助金も出ると知って安心したのもつかの間、審査があって書類やらなにやらそろえないといけないらしい。

 会社も退職の手続きが必要になると同僚からメッセージアプリで送られてきた。社長たちが勝手に夜逃げしたくせに、と思わないでもないが、ここで文句を言っても事態は好転しない。

 だけど未払いの給料はしっかり請求させてもらおう。

 私はゲストハウスのドミトリーで横になり、目まぐるしい1日を回想していた。共用のシャワーを浴びてきてから、なんだかスッキリした気持ちで前向きになっている。

 明日も忙しくなりそうだ、と思っていたらスマートフォンが震えた。
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