※彼の姉ではありません
秋晴れの澄みきった空。
暑くも寒くもない、過ごしやすい気温。
おしゃれなカフェ。
そこのオープンスペース。
目の前にはイケメン。
なのに、私の気持ちは急降下するばかりだった。
「……いきなりこのような依頼をして、失礼なのは承知でお願いいたします」
「はぁ……」
私は気のない返事をしながらも、先ほどイケメンが発したセリフを思いかえしていた。
私の姉に、とこのイケメンは確かに言った。全くもって意味がわからない。とりあえずいつでも逃げられるようにしておこう。
「順を追って説明させてください」
彼はそう言うと、ジャケットから一枚の写真を取りだして私に見せてくれた。そこには目の前のイケメンと女性が2人、仲良く並んで写っている。
恋人? それとも家族?
最初はそう疑問に思ったけど、女性の顔を見た瞬間に全部ふっ飛んでしまった。
「……私?」
そこには私そっくりの女性がいた。
髪型とかメイクとか、服の趣味は全然違う。
でも、もし交換したら──きっと、親しい人ぐらいしか見抜けないんじゃないか。そう考えてしまうほど、写真の女性と私はよく似ていた。