※彼の姉ではありません
私が勢いこんで主張すると、幌延さんはハッとした顔つきになった。
「必ず2人で祖母といましょう。細かいところで突っこまれても、私が絶対にフォローします」
私の負担だけを考えるなら、とてもありがたい申し出だ。失敗して怪しまれたとしても、幌延さんがすぐ助けてくれるとわかっているならば気持ちが楽だ。
「ですが、幌延さんの負担が重すぎませんか? お仕事もあるのに……」
そう、幌延さんだって副社長としての責務がある。四六時中ずっと蝶子さんの相手をしていられるはずがない。
必然的に、1人で蝶子さんの相手をしなければいけなくなる。やっぱり幌延さんにもっと亜純さんについて教えてもらうべきだ。
「姉の仕事を一緒に探す……ということにして、朝から私と外に出ましょう。これなら自然です」
私が口を開く前に、幌延さんが提案してきた。なるほど、今の蝶子さんだったらハイキングで頭がいっぱいだし、この家に1人にしてしまっても不安はないだろう。
「出た後は本当に仕事を探しにいってもいいんですよね?」
「もちろんです。仕事が終わったら連絡しますので、どこかで落ちあって一緒に帰りましょう」