※彼の姉ではありません
もみじ狩り
その日は快晴だった。
常緑樹と紅葉のコントラストは美しく、まさに行楽シーズンの到来を告げていた。
ニュースでは行楽シーズンに伴い、各地の観光地は大変混雑しており……と人、人、人だらけの映像を流していた。これでは風情を楽しむ時間もない。
いや、こういうのも含めて行楽地の醍醐味なんだろうか。
だとしたら、この状況はあまりにもつまらないことになる。
「晴れてよかったですね」
「ですね、今日は夜までいい天気だそうですよ」
私は天気予報士が言っていた内容をそのまま伝える。わかりきっているだろうに、幌延さんは「よかったです」と返してくれた。
隣りで朗らかに笑う幌延さんは、ハイキングにふさわしい服装──キャップに長袖の上着、ストレッチタイプのパンツ、リュックにトレッキングシューズを身につけている。
蝶子さんに負けず劣らず派手な色合いに、目がチカチカするような錯覚を覚える。自分の格好はこの際、棚上げだ。
派手な色にしているのは、もし遭難したとしても見つけてもらいやすくするためだ。決してファッションセンス的な問題じゃない。
けれど、赤だのピンクだの黄色だの、パレットのようになってしまった服を見ていると落ちつかない。